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【組織の共同体制を機能させる】過剰業務による負担増

Rob Cross、Reb Rebele、そしてAdam Grantらによる調査だと、過剰な共同体制は従業員を疲労させ、生産性を徐々に奪うとあります。

ビジネスがグローバル、部門間を超えて広まるとき、部門の壁を崩し、各部門のつながりの必要性が上昇します。そして、チームワークが組織的な成功のキーとして認識されるのです。

企業が成功のため、社内に共同体制を構築したいのなら、チームの共同体制と個人のパフォーマンス達成の両方を評価できる人事システムを導入すべきです。

Rob Crossらの過去20年におよぶリサーチだと、マネージャクラスとその他従業員との共同活動に使われる時間は、彼らの業務時間全体の50%以上に膨れ上がったとあります。

こういった共同体制の進展は、称賛に値しますが、価値ある人的リソースの消費は劇的に急上昇したことを意味します。それは、従業員たちの業務を一時的に中断させてしまう結果にもなるのです。

あなたの組織の典型的な一週間を想像してみてください、従業員は何時間を会議、電話やE-mailに使いますか。

多くの企業でその割合は、80%前後となり、従業員が自分の重要な業務に使える時間は十分に確保できてないのです。

同僚から、インプットやアドバイスに関する依頼の殺到、会議の参加、社内調整の作業に埋もれ、苦難することになります。

ストレスに関する大規模なエビデンスによると、従業員は最終的に業務を家に持ち帰り、やる気をなくしたり、離職するというリスクにつながるのです。

また、300以上の組織を対象に実施されたリサーチでは、共同作業の振り分けは、負担量がたびたび極端に偏る傾向にあります。

ほとんどの場合、本当に付加価値のある共同体制の中で、20%-35%は、3%-5%の従業員のみからやって来ます。 ほとんどは、十分な価値のある共同体制ではないということです。

能力とサポートの意欲が他の人たちに知れ渡ると、その従業員はプロジェクトに引き抜かれ、重要性の高まる役割に充てられます。

他の人をすぐにでも助けたいという考えと願望は、そういった従業員のパフォーマンスと評価を増加させます。

アイオワ大学のNing Liによる最近の研究では、彼らの役割範囲を超えて頻繁に貢献する従業員は他の従業員全員を合わせた以上のチームワークを推進するとあります。

ただ、こうした行き過ぎた体制は、共同者に対して更なる負荷を生みます。一見、好循環のようにスタートしたものは、すぐに悪循環に変わるのです。

悪く言ってしまえば、支援的な従業員は、組織を運営するにあたり邪魔になってしまう可能性があります。

理由としては、彼らの意見が加わるまで、業務が進捗しない。さらに悪いことに、彼らは酷使されすぎてしまい、もはや個人レベルの業務では効果的ではなくなっているからです。

そして大半の場合、サポート依頼は他部門や様々な組織から来るので、他者のために彼らが行っている業務の多様性とボリュームは、マネジャーらに気づかれないままとなるのです。

事実、企業で、積極的な共同者を特定するためのネットワーク分析を行うと、少なくとも、半分以上は予想していなった名前が上がっており、マネジャーらはそのリストを見て驚くのです。

マネジャーらがどのようにて、こういった需要を効果的に管理するのかがキーとなります。

貴重な個人的リソース

まずは、従業員が価値を創造するための3つの異なる共同リソースを識別するのことが重要です。

◆情報リソース;知識とスキルなど記録し、受け継ぐことのできる専門知識

◆ソーシャルリソース;従業員同士をつなげ、共同をうながすネットワーク

◆パーソナルリソース;自身の時間とエネルギー

これら3つのリソースはそれぞれ異なる効率性をもっています。

インフォメーションリソースおよびソーシャルリソースは、共同者からの提供力を枯渇することなく、単一のやり取りで他の従業員にシェアすることができます。

例えば、必要な知識の共有あるいは、社内ネットワークの認知などになります。また、共同者にとってもこれらリソースを自身のために、利用し維持することができます。

一方で、共同者自身の時間とエネルギーが必要なパーソナルリースは、有限となります。例えば、プロジェクトに関する会議参加や承認決定の依頼は、共同者自身の業務に使用する時間を減少させる結果になります。

不運なことに、パーソナルリースは、人が共同を依頼したいときに、いつでも利用されてしまいます。

したがって、共同者に具体的な質問を尋ねる代わりに、できたら、企業にある報告書や知識ライブラリーなど既存の情報保管スペースをリサーチするべきです。

実際に共同者のリソースを必要とせずに済む可能性があるためです。

ブルーチッププロフェッショナルサービスのケーススタディの場合、例えば、Vernell氏に社内の共同依頼が95件ありました。リクエストした側の全体の18%のみが本当にVernell氏自身の個人的サポートが必要であったとあります。残りは彼が持っている情報リソースとソーシャルリソースが必要だったのです。

つまり、依頼者たちは、自分で調べれば、Vernell氏に共同依頼する必要もなかった可能性があります。

一方、Sharon氏の場合は、より懸念があります。共同依頼を行った89人の依頼者の内、40%はSharon氏自身との時間が必要だったと回答してます。

これは、かなりの量の彼女のパーソナルリースを利用していることになります。つまり、彼女の時間を奪っていることになります。

あるデータによると、依頼者全体の25%が共同者のパーソナルリースを使用した場合、共同者自身の業務パフォーマンスの邪魔となります。

そして重要な人材は会社を去るあるいは、同僚らに対して無気力になってします可能性があります。任意辞職につながる可能性があります。

マネジャーらは、二つの方法でこの問題を解決することができます。

業務の再配分と効果的共同への見返りです。

業務の再配分

組織の共同効率を増加させる取り組みを行う場合、まずは共同体制における既存の供給量と需要量のバランスを理解すべきです。

従業員への調査、電子的コミュニケーション追跡、360度サーベイフィードバック、CRMプログラムはリクエストの発信先、発信元、種類、量など価値あるデータを把握することができます。

例えば、日報、週報ベースでマネジャーや部下が会議参加と個人業務に参加した時間をモニターするなどできればベストです。

その中で、共同作業により過剰業務となっている従業員を特定するのです。

そしてマネジャーらは、共同者に対して次の三つの行動を検討してください。

1)行動の見直しについて奨励する

2)テクノロジーと物理的スペースを活用する

3)構造的な変更

1)行動の変更について奨励する;従業員に共同依頼について優先順位をつけさせます。また、Noと言えるよう、許可を与えます。そして、難しい依頼でない場合は、他の人を紹介するよう方法を教えます。

2)テクノロジーと物理的スペースを活用する;情報リソースとソーシャルリソースへのアクセスを上げて、透明性を持たせます。

様々な業務課題において、オープンディカッションが行えるSlackやSalesforce.comのChatterなどを活用する。また、SyndioやVoloMetrixにより共同作業に対して情報に基づいた意思決定のサポートを利用します。

生産的な関係構築のため、オフィスレイアウトや机の配置を変更するのも手です。

3)構造的な変更;意思決定の権利をより適切な人間にシフトします。マネジャークラスでも支出、旅費や人事関連について承認を与えるべきです。ただ、多くの組織ではこういった権限を与えていないのが実情です。

あるいは、共同依頼のおける需要に対してある程度のバッファーを持たせます。例えば、多くの病院の各階には、患者ケアの担当でない、看護士指導者が存在します。

これにより、緊急なリクエストに対して対応できるリソースが準備できるのです。そして、看護士と適切な専門家を迅速につなげることで、問題となるボトルネックが少なくて済みという効果があります。

効果的な貢献に対して見返りを与える

基本的に、組織のトップの共同貢献者とトップ優秀者の間では、50%のみが同一人物です(共同体制および自分のパフォーマンス両方の貢献者)。

一方、多くの共同者は、業務過剰のため、パフォーマンスが悪いと思われいます。

そのため、マネジャーはこれら共同業務を再配分する必要があります。

また組織のトップ20%の優秀者はサポートを提供しないとあります。つまり、自分の責任の数字は達成しますが、同僚の成功は何とも考えていません。

マネジメント層が、チームの共同体制と個人のパフォーマンス達成の両方を期待しているのなら、この両方を行っている人を評価する方法を彼らが学ぶべきです。

サッカー、バスケやホッケーは、アシストした人の結果も追跡しています。ゴールだけでパフォーマンスを測定しないのです。

組織も同様であるべきです。ネットワーク分析、同僚による評価プログラム、バリューパフォーマンスマトリックスなどを用いれば、可能です。

例えば、会社を買収し、人的整理が必要になった場合もこの手法を用いて、本当に重要な人財を見分けるのです。

共同体制の構築、文化は最重要課題ですが、必ずしも機能するとは限りません。マネジメント層が共同体制の正しい方法を効果的に割り当て、認識する方法を学ぶ必要があります。

そうしないと、優秀な人財が、あまりにも多くの需要を、少ないリソースで負担しなければなりません。

こういった現状を考慮すると、いずれ大企業では、トップ共同役員という人財を雇用する日がくるかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました。