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【日系企業駐在員】アメリカで成功するには

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駐在員と聞くと、給与がいい、待遇がいい、海外で楽しいとわりと肯定的なイメージばかりが沸いてきますよね。実際はどうなんでしょうか?

一昔前までは、海外で働くステータスは大きく、一部のエリートが駐在員として派遣されてましたが、現在は駐在員の若返りで、小さなお子さんと来ている方が目立つ気がします。

会社の期待を背負って駐在員の生活をスタートしますが、結果をだせずに苦労している人の話しをよく聞きます。アメリカで成功する駐在員になるために、何が必要か見ていきましょう。

アメリカ駐在員が成功するためのキー

✔英語力

✔会議時の発言力

✔アメリカ人と戦うマインド

駐在員の仕事

外務省のホームページ情報によると、2019年アメリカには44万人の在留邦人が住んでいます。前期比4.9%と伸びています。これは全体の32%にあたり、二番目の中国は12万人ですから、アメリカにいる日本人の多さがわかりますね。

アメリカでの在留邦人はロスアンゼルスに約97,000人、ニューヨーク約83,000人、サンフランシスコ約46,000人となっています。カリフォルニア州の西海岸に30%以上の在留邦人が集まっていることになります。

カリフォルニア州に多くの日系企業が拠点を構えているのが理由の一つと考えられます。東京‐ロスは10時間と日本から一番近い(ハワイ除く)ですし、気候も良く、アジア人も多いため、駐在員にも人気のスポットです。

駐在員の任期は3‐5年程度です。会社が大きく全米に拠点をもっている場合などは帰国後、再度駐在員として、別の拠点やハイランクの役職などで派遣されるケースも見受けられます。

駐在員のビザは下記のいずれかの場合が多いです。会社が弁護士に$5,000払って、ビザを発行、延長してもらいます。

  • L1A;アメリカ子会社に駐在し、幹部職、管理職として働く人。最長7年まで延長可
  • L1-B;アメリカ子会社に駐在し、特殊技術職として働く人。最長5年まで延長可

駐在員の業務としては主に

  • 日本とアメリカ子会社間のリエゾン機能(マーケティング)
  • 研究開発
  • アメリカにある工場のマネジメント
  • 子会社のマネジメント
  • M&A、新規案件リサーチ

20代後半から派遣される駐在員は、即戦力というよりは、会社が提供しているキャリアップの場の提供という側面が強いと思います。上で言うとマーケティングとしてのリエゾン機能の役割が多いです。

マネジメントクラスになると、30代後半以降の駐在員が多いです。
工場のマネジメントは日本が強い車業界、研究開発は医薬医療業界などに見られます。

日本特有の商社もアメリカに支社を構え、複数の駐在員がいます。最近多いのが、M&A、新規案件リサーチを行う目的で派遣される駐在員です。

国内市場の縮小のため、日本企業は生き残りをかけて海外市場に目を向けました。アメリカ企業は成長のスピードを速めるため、自社開発から技術買収へ移行。同業他社の買収を進め、既存技術、製品の強化や補完を実施。

日本企業もシリコンバレーやボストンに駐在員を派遣しM&A、新規案件探しに力をいれています。実際、成功例も登場しています。

駐在員の経験は若ければ若いほどいいです。貴重なキャリアを早いうちから積めるので、将来の可能性が広がります。そのまま仕事を辞めて、アメリカに残る選択肢もあります。

日本にて海外部署の業務経験を重ねた後で、マネジメントとして派遣されるケースだと現地マネジメントで結果をだすのは、非常に厳しいでしょう。

駐在員の生活

若い駐在員は家族とともに、アメリカに来ます。アメリカで家族が増える駐在員もいます。子供が中学生の場合、単身で来るケースが多くなります。

カリフォルニア州、イリノイ州、ニューヨーク州などには日本人向けのインターナショナルスクールがあります。年間数百万円と費用は高めです。会社が払ってくることもあります。

ミネソタ州やマサチューセッツ州には土曜日に開校している日本語補習校があります。その場合、子供たちはアメリカの現地校で平日は学んでいます。

住居費用、医療保険、車費用は会社が負担します。住居については、上限が定められている場合もあります。アメリカの税金は会社が払い、税引後のネットをベースに給料額が決められます。

駐在員帰国制度もあり、会社経費にて家族と伴に1‐3年に1度日本に帰国できます。給料額はマーサージャパンなどのデータや会社規定で決められています。

アジアやアフリカは環境的に生活が厳しい場合もあり、ハードシップ手当が出されます。車の運転も危ないので、ドライバーがつきます。場所によってはお手伝いさんもつきます。

日米租税条約により、社会保険料はどちらか一国の支払いとなります。帰国を前提にほぼ日本での支払いとなります。給料は日本とアメリカ両方で支給されます。

会社によりますが、アメリカの給料が生活費、日本の給料が社会保障料の支払いに充てらえます。ボーナスは日本円での支給が主となります。

休暇になると、近くの海外、例えばヨーロッパ、カリビアン諸国、メキシコなどに旅行にいきます。単身の場合、ゴルフをエンジョイしています。

若い駐在員の場合、アメリカの生活を成功させるには家族の支えと、家族の満足度が重要です。自分の仕事は順調だが、家族の理由で帰国せざるえないこともあるからです。

アメリカの駐在員として成功するには

二つあると考えています。

  • 英語力
  • アメリカ人と戦うマインド

もともと日本人のステータスが高くはない国です。アメリカNo1を平気で言っている大統領がいる国ですから、どの国の人間もまずは下に見ています。

戦うマインド

インドネシアやタイなどに派遣される駐在員のステータスとは明らかに差があります。マイナスからのスタートです。差別をなくそうと言っていますが、依然として残っています。

ただ、社会や会社での取締りが厳しくなっているため、罰せられるのをおそれて何も言ってこないだけです。一緒に仕事をすれば、何らかしらの違和感を感じることもあります。

これら前提に、駐在員としての業務を遂行する必要があります。若い駐在員はモチベーションも高く、柔軟です。現地の人間のやり方を学びすぐに、仲良くなるでしょうか。

ただ、仕事は別で結果を出さなければなりません。現地のアメリカ人は、たまに来る日本人としてしか、あなたを見ていません。そこをまず注意してください。

社内で会えば、挨拶をしプロフェッショナルな関係を保ちながら、仕事では駐在員が担当する課題解決に向けて、成果を出す必要があります。

アメリカは実力社会のため、結果をださなければだれも認めてくれません。まずは会議での発言を増やし影響力を高めてください。日本の本社の力を利用しアメリカ側の人間を抑えるのも一つの手です。

あなたがいたから、うまくいったという事例を一つでもつくれば現地のアメリカ人はある程度の協力姿勢を見せてくれるようになります。ただ、その中でも食えない現地人はいます。

そういった同僚には弱みや遠慮を見せず、強気でいってください。会社のミッションが前提であることを理由につけた、上司の力をうまく使えば相手は嫌でも動いてきますので。

気を付けること

  • 差別的な言葉、見方をしない;アメリカ弱者を守る法律が整備されています。日本より厳しく、裁判沙汰になることは頻繁です。日本人はそのあたりの感覚があまいので、すぐに足をすくわれます。現地の人事チームから、事前に十分に教育を受けといてください。
  • 証拠となるメールや書類;ミッションがうまくいかなった場合に犯人探しになる場合もありまう。アメリカ人はあること、ないこと言う場合もあるので、証拠となるものを必ずキープください。

英語力

TOEICの点数は日本での指標だけで、アメリカでは使えません。駐在員が最初にあたる壁です。食事中や会議では現地人の言っていることがわからないことが多いでしょう。

ただ、理解できていないと思われると信用を得られないので、語学力は磨いてからアメリカに来ることが重要です。

とは言っても、すでに駐在員として派遣されている場合は重要な会議などは録音し後で聞きなおしてください。議事録を日本とアメリカ側に送れば、信用は損なわずに済むでしょう。

若いうちに駐在員として派遣されるベネフィットがこれです。年をとってからだと、英語力を向上させるのは大変ですし、マネジメントクラスではネイティブクラスの英語力がないと、現地人になめられてしまいます。

いくら日本で優秀な人間であっても、アメリカで働き、マネジメントの役職を遂行するには英語力が必要となるのです。飾りだけのタイトルは必要ありません。

そして、現地人同様に、現地のビジネスを学び理解することでアメリカのビジネスに特化した戦略を打ち出せるのです。重要な情報が現地アメリカ人経由でしか手に入らない、戦略の説明は現地アメリカ人しかできないという状況が続くようだと、日本本社が期待しているグローバル戦略とのアライメントは実現が難しいでしょう。

本社トップの人間が英語を話せなければ、駐在員の英語力の本質が見えないのでさらに問題は複雑です。グローバル企業になるための、大きな壁となっているのは間違いないでしょう。

ゆえに、駐在員が現地に根付き現地の人間と同じように、市場を知ることができればグローバル企業により近づくことができます。

原点に戻りますが、英語力は常に磨き、駐在員としてのパフォーマンスを上げていく努力が重要です。参考までに私が過去、勉強した英語本。

30歳の時にアメリカに移住、それまでは100%の日本育ち。発音や聞き取りに苦戦しながら、子会社のマネジメントを遂行できるようになりました。

私が定期的に英語のブラッシュアップで使用している教科書です。

最後までお読みいただきありがとうございました。