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【アメリカ人がMBA取得の意義を語る】事前に考慮すべきこと

スキルアップとして、MBAに興味がある社会人も多いですが、アメリカでの取得となるとハードルがかなり高いです。

海外で育って、もともと英語が流暢であれば、アドバンテージが大きいのですが、日本に住んでいる大半の人は、片言レベルです。

したがって、働きながら多くの時間を費やしてTOEFL対策【バークレーハウス】
やGMATに取り組まなければなりません。

そして、更なる壁は費用です。下記のトップスクールの2年間の学費になります。
これに現地での生活費がかかるわけですから、相当な負担となります。

また、医療保険には必ず加入していきましょう。アメリカの医療費はおそろしく高く、救急に行くようなことがあれば、数十万円を請求されることもあります。留学・ワーホリ保険ならAIG損保が有名です。

Business School Total Tuition Fees
(Class of 2020)
$=110円
Wharton School $160,326 ¥17,635,860
MIT Sloan $151,368 ¥16,650,480
Darmouth (Tuck) $147,258 ¥16,198,380
Harvard Business School $146,880 ¥16,156,800
NYU (Stern) $145,860 ¥16,044,600
Northwestern (Kellogg) $144,948 ¥15,944,280
Chicago Booth $144,000 ¥15,840,000
Stanford GSB $143,652 ¥15,801,720
Yale SOM $141,850 ¥15,603,500
Duke (Fuqua) $138,200 ¥15,202,000

引用:https://www.mba.today/guide/fees

企業によっては、社費留学制度があるので、それに合格できればベストです。自費で行く場合は、学費の返済計画を考慮して、決断すべきでしょうか。

今回は、Harvard Business Reviewの記事から2000年にスタンフォード大学経営大学院を卒業したED Batista 氏の記事を参考に、MBAの取得の意義を考えていきたいと思います。

2007年よりED氏は同スクールにて、数百人にも及ぶ学生のリーダーシップスキルや対人能力の開発のため、インストラクターおよび社内コーチングを実施してきました。

そして、野心家かつ努力家の学生の多くから、MBAを取得すべきか、定期的に質問を受けているのです。その質問に対して、ED氏はこのように回答しています。

◆まずはじめに、あなたがもつMBAのきたいは、MBAがあなたにあたえてくれるものといっちしているかどうかをはんだんすること。

◆MBAプログラムは3つの異なるタイプの利点を提供します。そしてこれらの利点は、各スクールにより大きく変動します。

実践的なリーダーシップとマネジメントスキル

マネジメント教育は、過去数十年で大きく変わりました。以前は、財務やオペレーションの領域で定量的な分析に、授業の焦点が充てられていました。

組織のライフサイクルのにおいては、あまり重要視されていなかったのです。

その結果、MBAホルダーは目を細めて数字の計算ばかりしている人間として、たびたび見られてきたのです。そして、実際の世界でマネジャーたちが直面する課題の実態を、認識していないと思われてきました。

MBAプログラムは、戦略、組織行動やリーダーシップなどの領域を提供することで、その反応に対応しました。

MBAスクールでは、まだ定量的なカリキュラムに焦点を充てているところもありますが、スタンフォード大学経営大学院の学部長Garth Saloner氏はマッキンゼーにこう述べています。

会計、財務やサプライチェーンなどの定量的スキルはマネジメント教育の中で、より標準化されてきました。これらは、衛生要因(少しでも欠けると不平・不満につながる要因)と考えられているようなものになり、つまり全員が知るべき知識となったのです。

MBAのビジネススクールは、定量的かつ分析教育の提供だけでは、十分でないと認識しました。

というのも、卒業生たちはビジネススクール卒業後2-3年で、あるいはすぐにでも、彼れらの能力を通して、個々の貢献という素質よりむしろ、チームを率い、そしてマネジメントを行い、多くの価値を創造することになるからです。

そして、より上級の役職での効果を出すには、全く異なった対人関係スキルを必要とするのです。

Garth Saloner氏は、加えて下記のように述べています。

MBAプログラムにおいて、柔軟なスキルセット、本当のリーダーシップ、他の人や、他の人を通して働く能力、そしてこれらを実行するための力は、まだ十分に供給されていない。

 

また、これら領域における質的なトレーニングを提供する能力は、MBAプログラムにおいて不均等に供給されています。

つまり、最良のビジネススクールでは、リーダーシップとインターパーソナルスキルは高い優先順位としています。

例えば、スタンフォードでは、現在、毎年400人以上の学生に対人全般において12のセクションを提供しています。それは、労働集約型コースと呼ばれ、最も人気のある選択コースです。

他のビジネススクールらも追従しようとしていますが、これら領域において、優れたプログラムを作り上げるのは、困難を極めます。

ハーバード大学のBill George氏はこのように言ったことがあります。

リーダーシップを教えることができる、とは思いません。ただし、学ぶことはできると思います。それは経験的な活動を通して学生たちにフィードバックを与え、自己認識を促すのです。そして彼らが自身の強みや限界を理解するサポートをするのです。

これらの行動は、従来の講義方法とは全く異なったアプローチを必要とします。

ED氏は、MBAが提供する定量的、技術的スキルが役に立たないと言って訳ではありません。これらは間違いなく必要です。

ただこれらの知識は、MBAプログラム以外でもますます学ぶ場が増え、低価格で個人がアクセスできるようになったのです。

例えば、オンラインでいろいろなスキルを学べる世界最大級のオンライン学習サイトUdemyなどです。

MBAプログラムの特別な利点は、現在のリサーチにより確立された実験的コースの連続の中で、同僚らと伴にリーダーシップと対人関係スキルを開発する機会を得ることです。

MBA取得を考えている方は、まずは下記の質問をあなた自身に問いかけてください。

◆検討しているMBAプログラムは、実践的なリーダーシップとマネジメント教育を提供しているか。

◆これらのコースはどれくらいうまく確立されているか。学校や近くのコミュニティからどれくらいの、サポートを受けることができるか。

◆これらプログラムについて、卒業生は何と言っているか。これらトレーニングを通して、どのようなベネフィットを得たか。

◆MBA以外にも実践的なスキルを学ぶための、代替え手段はあるか。

MBAは市場に対して信用がおける証拠

仕事のキャリアパスがない場合は、MBAはもちろん必要としません。MBAは選択的な学位であり、法学士、医師や弁護士が必要とするような資格ではありません。

ファイナンシャルサービスやコンサルタント企業などマネジメントの役割を担っている上級役職の人でも、MBAを持っていない人はたくさんいます。

したがって、MBAがあなたの選ぶ分野において、必ず有意義な目的を果たすとは仮定しない方がいいです。

ED氏はコーチング業として、スタンフォードの学生と企業のマネジメントであるプライベートのクライアントを持っています。

この異なる両市場において、ED氏のMBAの学位は、信頼を生む役に立つ資格として機能しています。

新しい学生は、ED氏が同じ立場(以前、スタンフォードの学生)であったことに安心感を持ちます。プライベートのクライアントは、彼らが直面している課題と世界の複雑性をED氏が理解していると、信頼を置きます。

ただし、MBAがこういった効力を持つと仮定してはいけません。

スタンフォード大学経営大学院卒業後、ED氏の最初の仕事では、多岐にわたるコミュニティと意見交換が必要でした。

彼がMBAを持っている事実について、決して他の人に誤解を生むようなことはしなかったですし、MBAを持っているとも言いませんでした。

ただ、ある人たちはMBAホルダーに、とても否定的な印象を持っていたのです。そういったステレオタイプの前に、ED氏自身のスキルを証明したかったのですが。

こういったED氏の経験は決して珍しいものではありません。MBAは多くの分野、組織から懐疑的に見られ、時には軽蔑さえされる可能性があるのです。

また、学位の信頼度はMBAプログラムの評価により依存します。ハーバード、スタンフォード、ウォートンはアメリカのビジネススクールで常時トップリストに上げられます。

ただし、傲慢なビジネススクールと見られるケースもあります。

企業によっては、こういったエリートビジネススクールの卒業生の採用を狙っていますが、一緒に働くのが難しいあるいは、気づき上げた文化を破壊するという懸念から、採用を避ける企業もあるようです。

次に、下記の質問をあなた自身に問いかけてください。

◆どの市場に身を置いているのか。将来、どの市場をリサーチする可能性があるか。

◆だれが自分の持つスキルに興味を示すか。MBAをもっていたら、それはどう変わるか。

◆その市場では、MBAがどのように認識され、MBAを持っている場合、どのような信頼を生むか。どのような固定概念(肯定or否定)に直面する可能性があるか。

◆検討しているMBAプログラムの評価は?このビジネススクールや卒業生は、自分が働きたい市場からどのように見られているか。

◆相手に対して、MBA以外に信頼を得られる方法があるか。

卒業生メンバーとのネットワーク

ビジネススクールはグループの中で働くことの重要性を強調します。MBAの学生は教師から学ぶのと同様に、彼らの同級生からも多くを学びます。

そのため、だれと2年間を過ごすかがとても重要です。最終的に学生らは同窓生となり、MBAプログラムが提供する最も価値のある利点の一つである、ネットワークにアクセスすることができます。

もちろん、同窓生のネットワークは公平に作られているものではなく、大規模な大学であるほど、大きなネットワークを持っています。

特定の地域や業界に強いネットワークも存在します。ビジネススクールは相互支援の活動的なリソースとして、ネットワークを作り上げるのです。

ED氏もコーチング分野でのキャリを模索していた時に、スタンフォード大学の同窓生から多くの親切なサポートを得ることができました。

スタンド―ド大学では、同窓生はお互いをサポートすることを自然と、義務と感じているようです。そしてED氏も受けたサポートを恩返しすべく、それがモチベーションとなっているのです。

最後に、下記の質問をあなた自身に問いかけてください。

◆あなたが検討しているMBAプログラムに参加している学生を把握しているか。彼らは同じ志を持っているか。

◆同窓会のネットワークをはどうか?どれくらい活発的か?

◆自分が興味のある分野と専門に特化しているか。

◆ビジネススクールは同窓会ネットワークや卒業生個人に対してどのようなサポートを提供しているか。卒業生は頻繁にそのスクールのイベントに参加するか。

多様性について最後のポイントとしては、

ED氏がストレート、白人そしてアイビーリーグ卒業生である事実は、ビジネススクールでの経験をかなり楽なものにしました。

MBAプログラムは、最近より多様性のある学生を追い求めていますが、ビジネススクールはまだ偏って、ED氏のような人を選考しています。

スタンフォードでさえ、女性、ゲイ、レズビアン、有色人種や海外からの学生を選考すること自慢げにしています。

ネイティブスピーカーでない、人はビジネススクールで孤独を味わうかもしれません、そしてMBAの経験はより困難でストレスを感じるかもしれません。

ED氏は、より広いバックグランドから人を選ぶことが促進するよう望んでいます。そして変わらなければいけないという現状を感じることが重要です。

最後までお読みいただきありがとうございました。